少し前にライティング講座を受けていまして、
「週1回フリーテーマで2000字提出」という課題があって、自由だと逆に難しい! という悩みにぶちあたりました。
そこで『アイデア大全』の出番です。
今回は「TAE マイセンテンスシート」を使ってテーマを掘り下げてみました。
もくじ
- TAE マイセンテンスシートとは
- レシピ通りにやってみた
- 1. 取り組もうとしている課題を書く
- 2. どんな感じがするか身体感覚を味わう。浮かんできた単語やフレーズを書き出す。重要そうなものに印をつける
- 3. 単語やフレーズを組み合わせて短文を作る(仮マイセンテンスにする)
- 4. 仮マイセンテンスの重要そうな部分に印をつけて、空白にする(④に記入)
- 5. 印をつけた部分を⑤に記入、辞書的な意味を⑧に記入
- 6. 空白を埋めるのにしっくりきそうな語句を他に2つ考えてみて、⑥と⑦に記入。それぞれ辞書的な意味を⑨と⑩に記入
- 7. ⑤⑥⑦のキーワードをもう一度当てはめて読み返してみる。通常以上・以外の意味を担わされているから意味が通らないことが多い。辞書的な意味と比較し、その意味を書き出してみる。重要な語句に印。(ここが一番重要!)
- 8. ⑤⑥⑦のキーワードと、辞書以上・以外の⑪⑫⑬で印をつけた語句をまとめて⑭に書き、どんな感じがするか味わう
- 9. 味わった後、思いついた短文をマイセンテンスとして⑮に記入
- 10. 他の人に説明するつもりで補足する。⑯がとりあえずの結果になる
- 結果書けたものがこちら
- TAEを実践してみて感じたこと
TAE マイセンテンスシートとは
読書猿著『アイデア大全』03
「何を書くかを身体に尋ねる」技法です。
用途と用例としては、
- うまく言葉にできないものを抱えていると感じるとき
- 長い時間考えてもうまくまとまらないとき
- 問題とデータにまみれた後、途方に暮れたとき
まさに自分がこの状態に陥っていたので、さっそく実践です。
レシピ通りにやってみた
最近ミニマリスト的な生活に拍車がかかっている、というか、捨てたり手放したりするのが気持ちよすぎるのと、これから何を減らそうかな〜と考えるだけで気分がよくなるので、その「謎の心地よさ」を言語化したいと思っています。
「マイセンテンス・シート」というテンプレートみたいなものを埋めていく形になっていて、
こんな感じの例が載っています。
これを自分のテーマ「ミニマリズム」「ミニマリスト」「断捨離」で考えてみます。
ちょっと複雑ですが、やってみよう!
1. 取り組もうとしている課題を書く
- ミニマルな生活で感じる心地よさの理由
2. どんな感じがするか身体感覚を味わう。浮かんできた単語やフレーズを書き出す。重要そうなものに印をつける
- 気持ちがいい
- 身軽な気分
- 執着がべりべりはがれる感じ
- ふわっとする
- 軽い
- 見栄がなくなって素直な感じ
- 堂々とした気分
- 大丈夫という気分
- 大事なものがはっきりした感じ
- 捨てるときはハラハラする
- どきどきする
- ちょっと罪悪感と戦う
- でも結局手放そうと決めたほうが心地よい
- 開放感
- ものに煩わされない楽さ
- 大事なモノ・コトがわかっているから動じない
- 買い物するエリアでも動じない
- 人から何かディスられても動じないでいられる
- モノを一つ一つ大切にできる
- もっと身軽になれる気がする
- 身軽になりたいと明るく思える
- まだ良くなれる確信が希望として感じられる
- 重くのしかかる日々が軽く感じられてくる
- 心の持ちようまで変わってくる
- 視界がグレーだったのが明るく見えてくる
- 実際、具体的に良くなっていく確信を持てる
- 余白の心地よさ
- 旅館の心地よさを再現できる
3. 単語やフレーズを組み合わせて短文を作る(仮マイセンテンスにする)
- 捨てる作業を通して執着がはがれていくことで、大事なモノ・コトがはっきりする。身軽になって、さらに良くなっていく確信が持てるようになる。
4. 仮マイセンテンスの重要そうな部分に印をつけて、空白にする(④に記入)
- { } になる確信が持てる
5. 印をつけた部分を⑤に記入、辞書的な意味を⑧に記入
- 心が「身軽」になる
- からだの動きが軽快であること。敏捷であること。またそのさま。身支度が軽装であるさま。足手まといがなくて行動が気楽にできるさま。
6. 空白を埋めるのにしっくりきそうな語句を他に2つ考えてみて、⑥と⑦に記入。それぞれ辞書的な意味を⑨と⑩に記入
- {大事なモノ・コトがはっきりする} になる確信が持てる
- 重要で根本にかかわる事柄。かけがえのないものとして大切にするさま。かけがえのないさま。
- {ささいなことに動じることがない} になる確信が持てる
- 心が動揺する。驚きあわてる。動悸がしてめまいがする。目がくらむ。
7. ⑤⑥⑦のキーワードをもう一度当てはめて読み返してみる。通常以上・以外の意味を担わされているから意味が通らないことが多い。辞書的な意味と比較し、その意味を書き出してみる。重要な語句に印。(ここが一番重要!)
- ものがなくなって物理的に軽くなるのはもちろん、精神的にも軽くなる感じがある。管理するものが減ったことで考える対象が減ったことになる。雑に思い出して処遇をあれこれ考えなくてもよくなった。維持するための労力もなくなった。「足手まといがない」はそのとおり。考えたかったことに集中できる。エネルギーが分散しないから 無駄に消耗しない。「軽装」は確かに。武装してるような重さはないけど、軽いから変化や 行動が柔軟になる感じがある。「なんとかなる」という気持ちが強くなる。
- 大事ではないモノに認知資源が奪われている感じがあったから、物が減ることで脳内にスペースができた。自分にとって大事なコト・モノが絞られてきた。これが自分のアイデンティティーだ、 自分はこれがあれば大丈夫、 というものを数点に絞ることができると、ちゃんと大事にできてくる。どんどん絞っていくと、「自分」を構成するのは「物質」ではないとわかってくる。「物質」ではなくて「考え方」とか「姿勢」とか「どう生きるか」とか「何を経験するか」とか「どう考えるか」のほうが「自分」を構成しているのだと思えてくる。それが自分の根本だとわかってくる。
- 大事なモノ・コトがわかってくることでそれ以外のモノ・コトが離れても不安がない。 慌てなくなる。 例えば店に行っても、あの手この手で買わせようとしてくる誘惑にはひっかからない。 なくても大丈夫と思えるし、 今後もっとそう思えるだろうという気持ちが強くなる。 例えば人から貧しくてつらそうと見えたとしても、自分は自分にとっての大事なモノ・コトがわかっているから 恥ずかしくならない。あわててモノを買ったり手に入れたりしない。恥ずかしさでめまいがすることもない。モノ(特定の何か)がなくなったり市場の動きに振り回されて驚くこともない。
8. ⑤⑥⑦のキーワードと、辞書以上・以外の⑪⑫⑬で印をつけた語句をまとめて⑭に書き、どんな感じがするか味わう
- 心が身軽になっていく
- 大事なモノ・コトがはっきりする
- ささいなことに動揺しなくなる
- 精神的に強くなる
- 考える対象が減る
- エネルギーが分散しないから無駄に消耗しない
- 武装してるような重さがない
- 「なんとかなる」という気持ちが強くなる
- 大事ではないモノに脳の認知資源が奪われない
- 「自分」を構成するのは「物質」ではないとわかる
- 「なくても大丈夫」と思えば恥ずかしくならない
9. 味わった後、思いついた短文をマイセンテンスとして⑮に記入
- モノを捨ててどんどん手放していくと、心が身軽になっていく。今までは脳の認知資源が、不要なモノにまで奪われていて、あれこれ考えなかえればいけなかった。エネルギーが分散して消耗しまくっていた。モノを持つことで武装して恥ずかしくないようにと怖れていた。でも手放していくことで大事なモノ・コトを絞り込んでいくことができ、精神的にも身軽になる。「なくても大丈夫」という気持ちが強くなっていく。「自分」を構成するモノは「物質」ではない、とわかっているからどんどんモノが減っても動じなくなる。これからも減らしていけるし、そのたびに身軽になって「自分」がどんどん楽になっていける希望が持てる
10. 他の人に説明するつもりで補足する。⑯がとりあえずの結果になる
- モノを捨てても「自分」は消えないから大丈夫。むしろ「自分」は身軽に存在できるようになっていく
結果書けたものがこちら
ライティング講座では、編集部の審査でOKが出ると公開される仕組みでした。
とりあえずのマイセンテンスを軸に書いて、無事合格したものがこちらです。
シートでまとめたものとは逸れているように見えますかね。
主に「武装」に焦点を当てていますが、自分の中ではちゃんとつながっているのでOKです。
TAEを実践してみて感じたこと
今まで漠然と「こういう感じのことが書きたいんだけど、体系立てて整理できてるわけじゃないし……」という気持ちが強くて、いろんなテーマを却下してきました。
でも今回TAEで身体感覚を味わいながら書き出して、無理やりにでも言葉にしてみる作業をやってみたことで、全然言葉が足りないかも……とか、バラエティ番組でいう「撮れ高」の心配が消えていきました。材料はどっさり出てくる感じ。
自分がテーマに対してどんな感情を抱いているのか、繰り返しの作業で徐々にわかってきます。
キーワードの「辞書的な意味」を書き出していく部分と、他の語句を探してみる作業で、無理やり言語化する効果が出てきます。
材料のかき集めになるし、主観的・限定的に考えていたイメージが少しずつ膨らんで、「足手まとい」とか「身支度が軽装」とか、読み手と共有しやすい客観的な言葉が登場してくる、といった感じでした。
今回でかなり成功体験を積めたので、「ここからどうやって何を書こうか……」と思ったときはTAEでじわじわ掘り下げていこうと思います。
『アイデア大全』は賢人・読書猿さんのありがたいご著書です。
『問題解決大全』で問題を掘り下げた様子もいつかアップします!
TAEの専門書もあるのでご興味ある方はぜひ!